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臨床外科 ISSN 0386-9857 (Print) ISSN 1882-1278 (Online) 61巻9号(2006.09)P.1250-1251(ISID:1407101138)

連載企画「外科学温故知新」によせて・5
創傷管理(2)─デブリードマン(Debridement)とは

佐藤 裕 1,2

※1 北九州市立若松病院外科
※2 日本医史学会


 わが国で創縁切除と訳されている「Debridement(フランス語の発音表記でデブリードマン,英語表記ではデブリドメント)」は「debrider」に由来しており,本来はフランス語起源の医学用語である.その語源を英々辞典で繙くと,「de」は否定を表す接頭語の「un」と同じであり,「bride」は本来は「bridle(拘束する,轡をかませる)」であることから,「debridement」はすなわち「unbridle」のことで,その意味するところは「to remove a bridle」ないし「to remove a constraint」である.ゆえに日本語では「拘束を解く,手綱を緩める,解放する」ことを表す.つまるところ,その名詞形である「debridement」が意味するのは,外科的見地からすると単に「創を開放すること」である.現在でもフランス(語圏)の外科医は「デブリードマン:debridement」という言葉の由来に忠実に「切開して締めつけを解くこと(removal of constriction by incision)」という意味で使っているようである.このことは現在においても「膿瘍を切開する」ことを「debrider un abces」すなわち「incise an abscess」と言うことからも窺える.
 その後,特に英語圏では「創を切除すること=wound excision」や「挫滅して活力のない組織を切除すること=removal of all obviously devitalized tissue, removal of nonviable tissue」という意味に変化してきて,今日一般的に理解されているような「デブリードマン」の概念が定着してきた.また今日,化学薬剤や酵素剤を用いたデブリードマンも行われるようになってきているが,最近になって,糖尿病性壊疽患者の難治性潰瘍にウジを這わせることで壊死組織を蚕食させて,創傷治癒を促進しようとする「医療用無菌ウジ療法(maggot debridement therapy:以下,MDT)」が脚光を浴びつつある.このMDTは「biodebridement」ないし「biosurgery」とも呼ばれて,その有用性から欧米諸国において「世界最小の外科医」と評価されるようになっている.


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